AUS版「新婚さんいらっしゃい」・vol.1
(このシリーズはちょいと長くなりますのでご了承ください)
新婚さん、
特に奥様はお疲れモードで現地に到着します。
前日まで仕事、挙式、二次会、そしてその翌日には現地へ出発。
飛行機では中々眠れず、お疲れモードマックスです。
そんな時一番多いのは、妊娠に気づいていない女性があまりにも多いことなのです。
お客様の具合が悪くなると、僕らは通訳として駆り出されます。
まず町医者へ連れていき、そこで対応できない場合のみ総合病院へ。
患者さんが女性の場合は当然女性スタッフが対応するようにしてはいましたが、
忙しい時は、そんなこと言ってられない。
ただ、妊娠の場合は、通訳がしずらいと言うか・・・。
症状を伝えると同時に、医者から矢継ぎ早に質問がきます。
例を挙げると、
「生理は順調ですか?」「最後の生理はいつ?」「直近のセックスはいつ?」
当たり前ですが、医者は聞いてきます・・・内心、訳す方の身にもなってくれよ・・と。
病気ではなく妊娠と聞いてホッとし、旦那さんには結果を笑顔でお伝えします。
僕:「ご安心ください、奥様はご病気ではなく、御懐妊ですよ」
旦那さん:「え? 本当ですか、そりゃ良かった・良かった」と満面の笑み。
僕:「おめでとうございます!、今後の日程はタイトなので、ご相談しましょう」
旦那さん「えぇ、是非お願いします」・・・んな感じです。
ある日、また通訳依頼の電話です。
えぇ〜女性スタッフいないの?、 やだよ、またあういう通訳するのは・・・。
今回も案の定、つわりが原因の体調不良です。
いつものごとく、笑顔の僕。
僕:「おめでとうございます、奥様ご懐妊です」
旦那さん: 「え? 俺しらねぇよ・・・・・・・・・・・・・・・・」
僕:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
つ、つぎの言葉が見つからない。
僕の笑顔が徐々に強張り、凍りついていくのが自分でもわかります。
そして、診察部屋も全てが凍りついていきます。
医者も空気を察知してかどうかわかりませんが、一言も発しません。
僕の中の僕:「植木等」でもやっちゃう? ・・・・・ こんな時に?
: でもどうすんのよ、この状況・・・・・・。
:収拾つかないじゃん・・・・このままじゃ
頭のコンピューターがフル回転ですが、
今までに出会ったことのない案件なので、暴発気味です。
そのうち、この二人に怒りさえ込み上げてきました。
「結婚する前に、一回くらいしとけよぉ〜」
「奥さん、あぁたも可愛い顔してやるねぇ〜」
「一回でもしておけば、なんてことない問題じゃん!」
もう「クラッシュ」する前に強制終了させなければ!
ま、この後はご想像にお任せしますが、
風の噂では当時流行った「成田離婚」だそうで。
この日ほど、女性が恐ろしく見えた日はなく、
帰社してからも女性スタッフへの見方が変わったのは言うまでもありません。
(当時僕は27才、世の中の嫌な部分を垣間見た瞬間でした・・
クワバラ、クワバラ・・・・・・笑)
教訓その1
世の中で何が一番怖いって?
そりゃ、あぁ〜た生きてる女だよ。